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なぜ働いていると本が読めなくなるのか (集英社新書)
なぜ働いていると本が読めなくなるのか (集英社新書) の表紙

なぜ働いていると本が読めなくなるのか (集英社新書)

入手 2026.01.01読了 2026.01.03★★★☆☆

出版社
集英社
出版年
2024 年
ページ
288 p

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読書史の診断は鋭い。ただ「半身で働け」という提言は、読書でなくてもいい一般論に見えて、最後まで腑に落ちなかった。

得たもの

前半の読書史がよかった。明治の「修養」から大正で「教養(エリート)」と「修養(ノン・エリート)」が分岐し、読書が階級の可視化装置になっていく流れ。円本が「書斎のインテリア」と「月額払い」で読書階級を作った話。1970年代に「自己啓発」が企業の評価装置として制度化され、勤務時間外の努力を測れるようにした話。ここは診断として納得感がある。

「読書=ノイズ(偶然性)を含む知識/情報=ノイズを除去した知識」という対比も、枠としては使える。

どんな人に

「仕事が忙しくて本が読めない」を、自分の意志の弱さではなく歴史と労働の構造の問題として引いて考えたい人。ただし処方箋を期待すると肩透かしを食う。後半の「半身で働く」提言は、読書に限らないワークライフバランス論の一例に見えて、自分は乗り切れなかった。問題の核心は「半身か全身か」より、時間配分の主導権を誰が握るかだと思う。

現代の心理や寂しさにもっと踏み込むなら『スマホ時代の哲学』のほうが接続がいい。

いつ読むか

前半(読書史)だけでも読む価値がある。新自由主義批判や燃え尽きの議論は「令和の現象」というより10〜20年前の論点に見えるので、その盛り上がりに乗る前か、少し引いて眺めたいときに。


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ISBN 9784087213126