
「サイバーを国際政治のなかで理論的にどう考えるか」を期待して読んだら、事実の積み重ねだった。主権のスコープをめぐる争い、という軸だけは残った。
得たもの/ズレたもの
期待していたのは「サイバーセキュリティを国際政治のなかで理論的にどう捉えるか」。実際に書かれていたのは、概念がいつどう登場したか、国連でどう扱われたか、といった事実の積み重ねで、それらをまとめて結局どう捉えればいいのかは最後までよく分からなかった。
一つ残ったのは「主権概念のスコープをめぐる争い」という軸。自国の主権が及ぶ範囲をコントロールしたいロシア・中国型と、インターネットは自由であるべきという米・西側型。この対立の枠は、他の本を読むときにも使える。
どんな人に
スノーデン事件前後・ファイブアイズあたりの事実関係を実証寄りの筆致で押さえたい人、あるいは著者(土屋大洋)の関心領域を知りたい人。理論体系を期待して読むと、自分と同じく肩透かしを食らうかもしれない。
いつ読むか
主権国家体制やウェストファリア体制の話(『国際法以後』、『神聖ローマ帝国』、『世界史の構造』あたり)を通ったあとで、その拡張・挫折領域としてのサイバー空間、という角度で読むといい。
同じタグの本
- サイバースペースの地政学 (ハヤカワ新書 026)

サイバースペースの地政学 (ハヤカワ新書 026)
小宮山 功一朗
サイバーセキュリティ国際政治
★★★★☆読了 2024.12
- サイバーセキュリティ

サイバーセキュリティ
松原 実穂子
サイバーセキュリティ国際政治
★★★☆☆読了 2025.04
- 万民の法

万民の法
John Rawls、中山 竜一
政治哲学国際政治
★★★☆☆読了 2021.06
- テクノロジカル・リパブリック 国家、軍事力、テクノロジーの未来

テクノロジカル・リパブリック 国家、軍事力、テクノロジーの未来
Alexander C. Karp
国際政治
★★★★★読了 2026.05
- 平和と愚かさ

平和と愚かさ
東 浩紀
政治哲学
★★★★★読了 2026.01
- 最小の結婚

最小の結婚
Elizabeth Brake
政治哲学
★★★★★読了 2022.05
- 社会はなぜ左と右にわかれるのか 対立を超えるための道徳心理学

社会はなぜ左と右にわかれるのか 対立を超えるための道徳心理学
Jonathan Haidt
政治哲学
★★★★★読了 2020.11
- アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界 (中公新書)

アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界 (中公新書)
堂目 卓生
政治哲学
★★★★★読了 2013.10
- 独立外交官 国際政治の闇を知りつくした男の挑戦

独立外交官 国際政治の闇を知りつくした男の挑戦
Carne Ross
国際政治
★★★★★読了 2012.04
- 〈概念工学〉宣言!

〈概念工学〉宣言!
戸田 山和久、唐沢 かおり
政治哲学
★★★★☆読了 2026.09
- 国際関係理論 第2版 (勁草テキスト・セレクション)

国際関係理論 第2版 (勁草テキスト・セレクション)
吉川 直人
国際政治
★★★★☆読了 2026.05
- スマホ時代の哲学 失われた孤独をめぐる冒険

スマホ時代の哲学 失われた孤独をめぐる冒険
谷川 嘉浩
政治哲学
★★★★☆読了 2026.01
ISBN 9784805110560